SP(78)レコード

ターンテーブルマット

皆さんは SP レコードを聴いた事がありますか、そうですあの蓄音機でかけるレコードです。

イメージとしては雑音だらけで鼻をつまんで歌ったときの声のような古くさい音の、年寄りのノスタルジックなだけの骨董趣味といったところでしょうか。ところが実際はそんな思い込みから遠くかけ離れた鮮烈な音楽を内に秘めたレコードなんです。

本題に入る前にレコードの雑音について少しお話ししておきましょう。 SP と LP それぞれに違いはありますが、レコードを聴いて育った世代の人にはプレーバックする時に発生するサーフェスノイズやスクラッチノイズに対しての耐性と云うかフィルターが多かれ少なかれ備わっています。この身に付いたフィルターに助けられて楽音と雑音を至極自然に聞き分けて音楽に集中する事が出来るのです。ところが CD が世に出てから聴き始めた人達にはその便利で有用なフィルターが身についていません、ですからレコードは音質以前に雑音だらけで聴くに絶えないものだと云う評価を下してしまいます。

しかし心配せずともこれらのフィルターは後天的に身に付いたものなので、100%言い切ることは出来ませんが、誰にでもレコードを聞き込んでいるうちに案外巧く解決出来る問題です。

話は戻って SP レコードをポータブルの蓄音機で聴いても、その魅力の片鱗を窺い知る事は可能です。そうは云うものの私がレコードを聴き始めた時は既に主流が機械式蓄音機から電気式蓄音機に移っていましたので、いまさら蓄音機でレコードを聴いてもごく一部の機械式蓄音機を除いては其の持てるポテンシャルが再現されずに欲求不満に陥ってしまいます。それとは別に SP レコードの電気再生をお薦めする大きな理由は、蓄音機再生の場合サウンドボックスの重針圧や使用する針の種類でレコードそのものを傷めてしまうことを極力避けたいとの思いからです。

SP レコードの電気再生を試みるには LP レコードの再生とは少し違った準備が必要です。先ず78回転と云う回転数を装備したレコードプレーヤーを用意し、3ミルから5ミルの大きさのチップのついた SP レコード用のカートリッジ、 SP レコード時代のイコライゼーションカーブを再現出来るフォノイコライザーの3点を揃えなければなりません。

SP レコードを聴く為のレコードプレーヤーの入手については、現行品のレコードプレーヤーの中にも78回転装備のものあり比較的容易に見つけることが出来ます。その他いわゆるヴィンテージと云われるものや DJ 用の中に使えるものがあり、探すのにそれ程苦労はありません。カートリッジは専用のものが数社から出ていますので確実に入手が可能です。ただフォノイコライザーが RIAA カーブだけに対応したものが大半なので、 SP レコードのプレーバック用途に使用出来るものを見つける事は簡単ではありません。

SP レコードは録音年代やレーベルにより様々なカッティングカーブで製造されていますので、一部のカーブがマッチしたものを除き  RIAA カーブでプレーバックすると音は出るものの低高音部がそれぞれ減衰強調されて聴こえ、それが古色を帯びた懐かしいだけの音と思われている所以です。正しく SP レコードをプレーバックするには SP レコードに対応したフォノイコライザーが必要になります。先にもお話ししたように対応する機器は多くはありません、限られてはいますがステレオレコード用フォノイコライザーについているものもあることはあります、その場合でも SP ポジションは簡易的な意味合いの強いもので、それを使用しても全ての SP レコードのイコライジングが正しく行われているわけではありません。

ザンデンオーディオシステムのイコライジングカーブ可変型のフォノイコライザーで各レーベルの系列に合わせてプレーバックすると、 RIAA 準拠のイコライジングカーブだけでは再現されなかったレーベルの SP レコードから圧倒的実在感を伴った音を引き出してくれます。詳しく調べればレーベルの数だけまた同一のレーベルでも時期によって違ったカーブが存在する事になっているようですが、実態の把握は困難と云うか不可能です。何はともあれ実際に SP レコードを聴いてみるところから初めてみられては如何でしょう。

先にも書きましたが SP レコードからは演奏する姿が見えるかの様な実体感を伴ったな音が聴こえて来ます、一度この音を聴いてしまうと病み付きになること請け合いです。

*上記の SP レコードは電気吹き込みのものを対象に書かれています,機械吹き込みの SP レコードは電気的なイコライゼーションが行われておらず、機械式蓄音機かフラットポジションの設定があるフォノイコライザーでのプレーバックが前提になりますのであしからずご了承下さい。

2013/07/01