オーディオラック再び

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以前お話をしたオーディオラックに纏わる諸々から殆ど進展のないままあっという間に6年の歳月が流れてしまいました。当時私はオーディオラックを自製する目論見を綴っていましたが、実情は様々なアイデアは出てくるもののこれぞ決定打だと思うところまで辿り着けずじまい、ついぞ実作に至ることはありませんでした。

まあ現状使用しているミュージックツールが単段で構成されていることもあり、基本一人で作業する私は性能と使い勝手の良さに満足していましたから。

このミュージックツールブランドのオーディオラックは使い方に秘訣はあるものの現在国内で販売されている製品の中では価格以上の性能を有する数少ない優秀な製品であり、その使い勝手もさることながら音質面に於いてもかなり上質の性能を有しています。周りにある既製のオーディオラックの中でも、デザインと性能の両面でこれを超える製品は見つけづらいと考えています。

そんなこんなでセッティングはここ暫く落ち着いていたのですが、ひょんなことから思いがげずオリジナルのオーディオラックが出来上がってしまったのでその顛末についてお話ししたいと思います。

ことの始まりは今年5月に開催されたむくのきオーディオショーに向けての雑談でした。

ショーの事前打ち合わせでダイヤトーン DS-4NB70 のデモンストレーションはダブルスタックにすることになり、スピーカースタンドも純正指定品を使用、アンプとの接続方法を並列か直列にするかも当日音出しをして決めると云うラフな話し合いで終えました。

ですが私の中では DS-4NB70 の持ち味を十二分に発揮させるにはそれなりのセッティングが必須だし、それをダブルスタックするのであればなをさらそれ相応のスピーカースタンドを使用しなければ宝の持ち腐れになるんじゃないかと云う思いが強くなり、それなら一丁作ってみるか。なんて妄想、否、暴走を始めてしまいました。

これまで作ってきたスピーカースタンドの考え方を基にしておけば無問題とばかりに、極々軽い気持ちで勝手にダブルスタック用スピーカースタンドを拵えてしまったのです。

しかし現実はそんなに甘くないのが常、少なくはない資金を投入してエイヤットばかりに作っては見たものの、ショー当日いざぶっつけで試した途端見事に撃沈、ダブルスタックの悪弊を強調するばかりで使い辛いったらありゃしない、万事休す。見事に急所を外していたので即分解となりました。

このようにしてダブルスタック用のスタンド計画は敢無く玉砕しました。

その残骸は目に付かないよう物陰に放置していましたが、何せそこそこ元手がかかったものなので捨てるに忍びないと云うより捨てられないまま無用のオブジェになっていました。

頭の隅に引っ掛かりながらも放置すること数ヶ月、ある日ふとこの残骸がオーディオラックに転用可能であることに気づいてしまいました、否、閃いたんです。

そこからは何時ものペースでマンガを描き金属加工場に持ち込んで改造と追加加工をお願いすることに、これまでにかなり原資をつぎこんでしまっているので、今回ばかりは自分でできるところは極力自分でやってみようと、アクリル板や副資材を購入後組み付けに必要な穴開けや研磨はシコシコと家内製手工業。

ええ、出来ましたとも。少し過剰に思えるところもありそうですが、一見苦肉の転用品には見えない出来栄え。

祝! Reborn

シンプルながら素材感からくるゴージャスな趣があり安定感のあるフォルムが気に入りました、さて肝心の音ですが、これまた結構。手前味噌、自画自賛ではありますが、このサスペンション機構は積み上げてきた実績があり自信もあるので予想通りではありますがその効果は顕著です。レコードプレーヤー等の回転系機器には足元に音羽をあてがったミュージックツールを使用し、増幅系を今回完成したラックに任せることで私の考えるほぼ理想のフロートセッティングに落ち着くことになりました。

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いつの日かこれを原器に石清水のようにカタログモデルに昇華できることを夢見て。

果たして。

 

2019/12/28