音の値段

オーディオに無関心な人達の目には昨今のオーディオそれもピュアオーディオと云われるジャンルの機器の値段、いったいどんな風に映っているのでしょうか。

オーディオ用電源

かつて SS 紙上で菅野沖彦氏はサンキュッパ・ヨンキュッパと云った値段の機器をその理由と経緯を添えた上で、自分としては誌上での評価の対象とはしないと明言されていた様に記憶しています。当時のそれらサンキュッパ・ヨンキュッパのオーディオコンポーネントは通常使用するに当たって全く不都合のない製品が殆どでした、と云うよりむしろメーカーの主力商品でさえありました。経済は成長の直中にあり誌面上の製品も今ほどではありませんが高額なものにシフトしがち、高いものは良いものだ云う論調が大勢を占めまさに良いものは高いものの中にしかないと云った雰囲気が横溢していました。確かに良いものの多くは当時から高価でした、中でもオーディオ製品の価格はオーディオにそれ程の興味を持たない人にとっては単なる記号にしか思えない程高額で、普通の金銭感覚からは甚だしく乖離したものになっていました。

このようなことを書きつつも今更ながら自分の身の回りにある機器を見渡すと、改めて常人からは咎められそうなものばかりが占めていることに気付きます。言い訳にしか聞こえないだろうその理由は、音楽の核心が聴こえるオーディオが必ずある筈と云う思いの末の結果なんですが。オーディオの目的は瞬時に消え去る音楽の記憶を再現することと云えます。ですからどこまで踏み込むのかどこで踏みとどまるか、その判断には大いに悩まされるところです。オーディオと云う行為がそこまで人を駆り立ててしまう大きな理由は、音楽への憧憬の深さのなせる業だと思いたいのですが如何でしょう。

若者のミュージックライフは CD Walkman の発売によって大きく変化しました、それにつれてメインユーザーである若者の興味の対象から外れてしまったのがゼネラルオーディオです。最大のマーケットを失ってしまった国内のオーディオブランドは次々に撤退して行き、今では名のあるメーカーの大半が姿を消してしまいました。そんな今に至ってもオーディオに真剣に取り組み続ける人達にとって、細々とでもオーディオコンポーネントを作り続けているメーカーを決してないがしろにすることなど出来ません。要求される水準が高い割に量産効果が望める程には売れないものばかり、したがってメーカーの努力の如何に関わらず価格は必然的に高くなってしまいます。ユーザーとしては存続の努力を続けてくれるメーカーが無くなってしまわない現状はまだ幸運と考え、その健闘を願うばかりです。

そんなこんなでこのご時世オーディオの深みに落ちてしまうとある程度の出費は必須で、それを避けて通る術はありませんのでご用心ご用心。

現在普通の家庭で音楽を楽しむツールは PC やミニコンポが主流だと思います。しかしそれでは満足出来なくなりピュアオーディオなるものに手を染めのめり込んでしまうと、それ迄とは桁の違うものを買い続けることになります。家人に向かってその理由付けにやれ音場だ音像だ原音再生だ、それを可能にするものはやはり高いんだ。なんて叫ぼうとも運良く黙認してもらえれば御の字で、たいていは冷たい視線を投げかけられ変人奇人に見られるのが落ちです。理解されるなんて到底無理なことで、一人黙して粛々とやり遂げるより方法はありません。

音楽の熱烈な愛好家でもなく異常な程の機械好きでもないまま、何となくオーディオを続けて来てそれなりの買い物を続けて来た。別にどうしてもオーディオを続けたい理由も見つからないけれど、顔見知りのショップに行けば下にも置かないような応接をされるし、あれこれ買うのが楽しくて止めるに止められない。そんなあなた、今からでも遅くありませんよ。オーディオなんかにこだわらずに同じお金をかけるのだったらオーディオもビジュアルも同時に楽しめるリビングホームシアターを作って、家族みんなを幸せにするなんて素敵なんじゃないでしょうか。

閑話休題・・・・・・・・とあるオーディオ関連のブログか何かに、◯◯製の△△は10数万円で100万円の音を越えたといったのがありました。皆さん分かりますか?、100万円の音ってどんな音だか。多分同じジャンルの売値100万円の機械よりいい音がするよって云ってるんだと思うんですが、前にも書きましたがオーディオ屋の良く使う「いい音しますよ」ってよく分からない言い草ですね。オーディオなんて色々繋がないと音出ないし、そうなるとその機械だけの音かどうかも怪しいし、でも音そのものに値段をつけると云うのは大胆と云うか新発想ではあります。

2013/08/20