驚破!一大事
ことは突然やって来ました。とは云え前日からその兆候のようなものが現れては消えしていたんですが、こいつの性癖を忘れて油断していたところ虚をつかれました。
今店内に音はありません、そうです Quad ESL 2905 からノイズが発生しだしたのです。前日から「なんか耐入力が下がって来てるなー、何時もの音量なのに落ちるの早くなったみたい。」ちょっと嫌な感じなんて思いながら聴いていました。最初はパワーアンプの真空管が天に召されかけているのかと疑い先ずアンプの灯を落としましたが、それでもプツッ・プツッと云う音は止まりません。スピーカー耳を近づけると右チャンネルの低域パネルの上部1枚から音が出ていておまけにその辺りから小さな火花が出ているのが確認出来ました、そうこうしているうちにあの静電型特有のノイズが連続して起こり始めましたので「ああ!!これはもうご臨終」となった次第です。
使用開始から7年8ヶ月いよいよ耐久試験も終わりのようです、開店準備の期間からこれ迄の間ほぼ毎日ルームアコースティックの整った当店試聴室で常に Best sound を聴かせてくれていました。
音色音質共に間違いなく素晴らしいスピーカーですが故障したままでは話になりません、こうなった以上修理する以外に手は無いので早速ロッキーインターナショナルに相談の電話を入れました。当店の使用しているモデルは現行品 ESL 2912 のひと世代前のものですが、まあ通常なら現行品と同じ部品を使用しているので即修理となる筈でした。
でも甘かった。
業務の受付では「部品がありません、今発注しても3ヶ月位はかかりそうです。」ビジネスライクに云われてしまってはもうどうすることも出来ません。また営業サイドからも似たようなレスポンスしかなく、頼みの綱は切れてしまっていることは私にも理解出来ました。これから3ヶ月以上も音無営業なんて無茶なこと出来る筈も無く、一旦 ESL はベンチ入りさせておきその対処は後に廻すことにして、兎に角急いで使えそうなスピーカーを探すことが先決事項になりました。
現在 Quad ESL 2905 によって完成の域に達している音の再現、そしてダイポールの音が骨の髄まで染み込んでしまっている耳。それらのこと全てを踏まえて、その近似値を可能にしてくれるスピーカーを探し出すのはなかなか骨の折れる作業になることが予想されます。
しかしこの惨事を未だ経験していないジャンルのスピーカーに挑戦する千載一遇の好機と捉えることにしました。これ迄使用して来た Quad ESL だけに拘泥することなく当店がこれ迄目指して来た音の方向性を維持したまま、より一層プレーバックのクォリティアップが図れるスピーカーを探し出すことに決めました。例えば ESL の美点である空間情報の正確さや音色再現性の確かさはきちんと残し、 一方若干苦手としていた等身大の再生(音量・音圧)を獲得する為に現行の製品だけではなく旧製品そしてマルチユニットの製品も視野に入れ頭を十分解して選ぼうと思っています。
人間万事塞翁が馬の古事に習って一打逆転、ミュージックライフの更なる深淵を覗き見る為の次期 FX 選びが始まりました。
2016/9/15