DIATONE DS-4NB70 の相棒は?の後日潭

「今のところ DIATONE DS-4NB70 は KRYNA 製スピーカースタンドと『音羽』のトリオで、ほんま ええ感じです」と締めた前稿から随分と時間が経ちました。

今思い返してもそう書き記したときには十分納得出来る状態に仕上がっていました。しかしです、打てば響く素性の良さを知ってしまった以上そのままほ放っておける訳も無く、思いつくまま手を変え品を変え飽かずに色々やってしまいました。此処ではその経過とそれにまつわる顛末をお話ししようと思います。

2018年2月末スピーカーシステムとしては、 KRYNA 製スピーカースタンドにニトリルゴムのオーリングを介して載せ、スタンドのスパイクを音羽で受けていました。そのセッティングで漸く当初思い描いていたサウンドを手に入れていました。

只サウンドそのものには何の問題も無かったのですが、一般市販品の KLYNA 製スタンドはブックシェルフとは言え少し大振りな DS-4NB70 の使用にはそぐわない点が有りました。それは同機のトップ及びベースプレートのサイズがスピーカーに対して少し小振りだったこと、残念ながら地震による転倒等の安全マージンが取れる大きさがありませんでした。

そうした点迄考慮して選ぶとなると現時点では純正指定されている TIGLON  MGT-DS-70-60 を於いて他ありません、自ずとそれを使用することになるのは言わずもがなです。使用してみると分かるのですが、形状的にも方法論的にも又性能的にもTIGLON / KLYNA の双方とも機構機能もほぼ同等であり、サウンドの差も誤差範囲と考えて差し支えないものです。

ただこの2種類のスピーカースタンドを使用したヒアリングの結果だけで、 DS-4NB70 のベストセッティングと捉えてしまって良いものかは少なからず迷いが有りました。そう結論づけるには未だサンプリングの数が少ないことは否めなかったからです、他にも少々理由はあるのですが DS-4NB70 が当店のリファレンスを担っている間はセッティングの試行は続けて行うとは決めました。

組み合わせ可能なスピーカースタンドの候補としてはこの2社以外のメーカーの製品を試す事も考えましたが、それぞれ相似形のものかデザインありきのものばかりの様な気がしたので、この際このスピーカーに特化したサスペンドタイプのオリジナルスピーカースタンドを作ってみる事にしました。性能面での課題は DS-4NB70 の能力をスポイルすることなく自然な現実感の表出を第一に、外観及び佇まいはインテリアに融け込み易くスピーカーと一体感が出せること、そしてセッティングが容易に行えることも大切な要素としました。

過去に実作したスピーカースタンドの試作機と、それらの試作段階から暖めていたアイデアが複数有ったので、今回の試作の構想はそれ程時間がかかることもなく、製作も順調に進みオリジナル DS-4NB70 専用スタンドは出来上がりました。

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自信は有りましたが試聴は音が出た瞬間に納得してしまう程、本当に呆気ないものでした。 これ迄の組み合わせと比べても明らかに音の重心が下がり高域の嫋やかさが増し、以前の試作機の様にやり過ぎにもならずに、ややもすればオーディオライクな音になりがちな分解能の高さが返って現場感を醸して恰もかぶりつきで聴いているようでした。

重量も市販品のように重くなくハンドリングも手軽なことに加え、元からそこに有ったよう佇まいを思わせる姿もインテリアとして好感の持てる仕上がりでその出来映えには十分満足していました。

と、そこ迄は上出来でした。ところがです、一頻りの検証を終え当初の目標をクリアしたことを確認出来たので販売を検討する段になりましたが、製造にかかるコストを見てにわかに現実に引き戻されました。ワンオフの受注販売ならいざ知らず、このままの状態で販売すると価格が TIGLON  MGT DS-70-60 の3倍を越えてしまうのです。

とは言えこのサウンドをスポイルする様なグレードダウンは受け入れられません。かなり悩みましたが定番化は一旦保留する事に決めました。今回の試作機は当店でのデモンストレーションの参考品としておくことに決め、今後は TIGLON MGT-DS-70-60 を使用して性能向上を図る方法を探すことに方針を変えました。

一旦振り出しに戻り、MGT-DS-70-60 を基本に置いて次の一手を探る為にも、今一度スピーカースタンドの聴き比べをする必要が有りました。こんな時一人より二人の方が心丈夫だと、実のところ一人では心もとなかったので  DIATONE DS-4NB70 プロジェクトリーダーである S 氏にすがることにして、スピーカースタンド聴き比べの立ち会いをお願いしたところ、快くお引き受けいただいた上更に M 氏 I 氏の両名にもご参加いただいて計4人でのTIGLON MGT-DS-70-60 を中心に据えたスピーカースタンドの聴き比べが実現しました。

当日当店試聴室で、デバイスを取り替えセッティングを変えての試聴が行われました。

そこで得られたノウハウは直ぐに納入済のユーザーに提供しましたが、大雑把な説明をしておきますと、スピーカースタンドは当然 TIGLON  MGT-DS-70-60 を使用すること、そして市販のカーボンプレートやウッドチップ又は高分子系の シート等を介在させてスピーカーを直接スタンドに接触させないこと、スタンドの設置はスパイク + 金属系スパイク受けのような硬質素材一辺倒ではなく、床の状況次第で軟質素材を使用したロータリープレイン等、状況に応じて素材の使い分け組み合わせも視野に入れる事等々です。

(ロータリープレイン)

 

今回検証したセッティングによって得られたのは、それまではまだ幾分残っていた耳につく高域の強調感所謂ハイ上がりが消え、低域から高域にかけてのバランスが極自然な形で展開されるようになったこと、その結果リアリティが大幅に向上したことでした。

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(KLYNA + 音羽)

 

更にその上、ベターではなくベストを望む場合はスパイクを『音羽』で受けることになるのですが、金額的に当店のオリジナルと同じくらいになってしまうのが悩みどころではあります。しかし、しかしであります。スピーカー+スピーカースタンド+音羽=1745K、高価です、高価ですよ確かに、しかしこのサウンドが手に入るのであればこれはもう大バーゲンと云う他ないと確信する私がいます。

以上が当店の DS-4NB70 に絡むスピーカーセッティング諸々のお話です。

拙稿をお読みいただいて理解いただけるかは分かりませんが、手をかけたことに対して本当に敏感に反応してくれます、。オーディオの醍醐味をこれほど堪能させてくれるスピーカーも稀でしょうね。とりあえず音が出る状態にしただけではその真価の片鱗さえも見せてくれない面倒さはあります。そんな時の音を聴いただけでXの評価を与える人も居そうですが、十分な慣らしと的確なセッティングがなされたこのスピーカーからもたらされる至福を是非皆様にも味わっていただきたいと思います。

オーディオの設置環境は千差万別一つとして同じものは無いでしょうし、組み合わせる機材によっても違いが出るのも然りです。チューニングに使用するデバイスも十分吟味することが肝要です、言い換えればマメさが必要でズボラを決め込んでいては何時迄たっても足踏みが続きます。経験豊富な方も時にはご自分の王道から外れてみると違った世界に飛べるかも知れません。コレハと思ったデバイスは億劫がらずに試して見る、これ意外と近道になるかもです。

「これからも折りあらばサウンドのブラッシュアップに精出すぞ」で今稿はおしまい

? To be continued ???

 

2019/1/11