2)Room Acoustic

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オーディオは先ずスピーカー・アンプ・プレーヤー等のオーディオシステムを揃えるところから始まります。しかしその先より良い再生音を得ようとするには、装置以上にルームアコースティックへの配慮が必要なことは前項でお話しした通りです。使用する部屋の容積や形状そして壁や床・天井の材質と工法による仕上がりの強度等々で、同じ装置を使っていても出てくる音は全く違ったものになってしまいます。

新たにリスニングルームを造る以外既存の部屋の状態や形態は、概してオーディオに最適とは思えない場合が多く、オーディオにとって不向きな音響特性に従う事になります。使用するオーディオコンポーネントの固有の音質もありますが、聴こえる音の大部分はその部屋の音響特性が支配しています。

所有するオーディオシステムの音に不満を覚えた時、先ずその原因をオーディオコンポーネントに求めがちです。しかしそこで一度思い返してみて下さい、過去にオーディオシステム全体をより大掛かりにしたりより高額なものに組み替えたりしても、結局従来からの不満が解消されずにいた事が無かったか。構成機器の変更を重ねても不満が解消されないのは、その原因がリスニングルームそのものにあると見て間違いありません。良い結果を望むならばルームアコースティックの改善や、電磁波等への対策を図る事が先決です。機器の変更はオーディオに於ける醍醐味の一つですが、より良い音楽再生に向けて少し視点をルームアコースティックを含めリスニングルームの環境に移してみる。また今あるオーディオコンポーネントの設置方法や、電源を含めた周辺環境を見直してみたりする方がより効果的に進める事が出来ます。

それではどのような部屋がオーディオに適しているかと云えば、

1* 遮音、防音が出来ている事
2* 反響が少ない事
3* 残響が少ない事
4* 定在波による特定音域のピークやディップがない事
5* 床が強固な事
6* 部屋が小さすぎない事

おおよそこのようになると思います。
上記項目の中で1*については、環境により必要な程度が左右され不要な場合もありますし、1*・5*・6*は建築工事を行わずに目的を達成させるのは難しいのでこの中でも比較的取り組み易い2*・3*・4*について取り上げたいと思います。

リスニングルームに於いて、その設えとして「コンサートホールの様なホールトーンを生み出す造作が必要」云々を仰る方が多々居られます。各人の音楽への向き合い方によっても違うと思いますが、私はオーディオに於ける音楽再生とは響きも含めソフトに入っているものを正確に再現する事が基本だと考えていますので、その意見には諸手を上げての賛同は出来ません。一方で反射や拡散に依って解決を図ろうとする事例も見られますが、室内の音響特性によってソフトに無い響きを付加する事になりかえってバランスが取りにくくなります。適度な吸音と反響の抑制により、ソース本来の音を濁らせたり打ち消したりしないようにするのが肝要です。しかし残響や反響を全て取り去ってしまえば良くなるのかと云われればそれも程度問題で過ぎたるは尚及ばざるがごとし何事にもバランスを大切にし、なによりも気持ち良く過ごせる環境に仕上げるのが大前提です。

大まかに云えば、2*の反響は主に向かい合った固い平滑な面を作らない事で解消されますし、3*・の残響は吸音材の設置でコントロールされます。4*の定在波によるデメリットは、2*・3*の対策で平行して解消されます。ここで吸音に使用するのはザンデンオーディオシステムから発売されている、粘弾性素材のサウンドトリミングパネルです。この製品は簡単な設置でルームアコースティックの問題点の解決します。またこのパネルはとても軽く出来ていて床に置く他壁や天井に画鋲等で取り付けられ、その素材は大手メーカーの無響室にも採用されるなど性能の優秀さは証明済みです。当店の試聴室でも全面にこの素材を採用し、十全にその機能を発揮しています。これにより余分な響きを加えず録音されたそのままの音が聴こえ、何のストレスも無く音楽に没頭出来る様になります。

また現代生活では様々な電化製品が家庭の中にあり、性能の進歩と共にマイコンを使用した製品等の機器が発生させるノイズは家中に満ち溢れ、デジタル系のオーディオコンポーネントが発する高周波や外来の電磁波までもが家の中まで侵入して来ています。それらのノイズは遮蔽遮断するだけではなく取り除かなくてはなりません。

当店では快適なリスニングルームの実現を、インテリアデザイン・ルームアコースティック・電磁波対策・電源環境の整備も含め、全てを計画から設計・施工・機器の設置・調整までを責任を持ってお引き受けいたします。