12)Pre amplifier

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LP に代る新しい音源の主役として CD が出現して以来、プリアンプの主流はそれ迄のフォノステージ付きからラインステージ専用機に移りました。デジタルオーディオ出現以前の LP レコードが主役だった時代にはフォノステージにボリューム等の各種コントロール機能を持たせたものをプリアンプと呼び、性能の基準はフォノステージの性能におかれていました。やがてオーディオの潮流が デジタルメディアへと向かうにつれ、フォノステージやトーンコントロールは必要とされなくなり、ボリュームコントロールに重点が置かれるようになります。各種入力切り替えと音量調節がメインのラインステージが多数派になり、あげくは入出力が一系統しかなく操作はボリュームコントロールだけの原理主義的な製品も現れました。

メディアがアナログからデジタルへと移行する先駆を担い、一挙に主役の座に躍り出た CD プレーヤーには直接パワーアンプを動かすのに十分な出力があり、それを利用する形で増幅部分を省略したパッシブタイプのボリュームコントロラーが出現しました。折も折更なる信号経路の純化を求めるマニアックがそこに目を付けここぞとばかりに飛びつきました。その勢いは時流に乗り一時はプリアンプ不要論が幅を利かせていました、しかしながら実際の使用にあたってはインピーダンスのアンマッチングに起因する問題や増幅部を持たない故のデメリットも認識が進み、ボリュームコントローラー万能説は沈静化し再びアクティブタイプのプリアンプの重要性が理解されるようになっています。

CD プレーヤーの出力はそのままでパワーアンプを動かすことが可能なので、ボリュームさえコントロール出来ればプリアンプは不要です。それにも関わらずアクティブタイプのプリアンプがその存在意義を失わないのは、ゲインのあるプリアンプでパワーアンプをドライブすることによって、音の密度が格段に高められると云う点にあります。ボリュームコントロールの幅を拡げ、埋もれてしまいがちなディテールまでを鮮明に描き出すと云ったことはプリアンプの真髄であり存在意義そのものです。

そして更に重要な点はポラリティ(簡単に云うとスピーカーの入力のプラスとマイナスをイメージして下さい)の切り替えが可能か否かと云う点にあります。レコードに限らず CD にも逆相で作られているものが意外と多くあり、この機能を装備することにより今迄再生音に不満のあったソースを制作時の極性に合わせたプレーバックが可能になり、そのソースが本来持っているポテンシャルを味わうことが出来るようになります。例えば Zanden Model 3000 及び Model 3100 Active Linestage を使用することにより、個別にポラリティー切り替え機能を持たない機器を接続することでその性能を十全に発揮させられるようになります。

それではパッシブタイプのプリアンプに存在意義が無いかと云えば、信号経路の大幅な短縮という大きなメリットがあり、使い方次第では侮れないものがあります。ただし入って来た信号を減衰させると云う機能があるだけなので、そこを通る信号の扱いには慎重を極める必要があり、製作には高い技術力を要します。信号がボリュームを通過する過程でノイズの混入を防ぐのは勿論、尚かつそれを吸収除去してより純度の高い信号として送り出すなど、その特性を把握して使えばアクティブタイプのプリアンプとは違ったアプローチの取れる面白いオーディオコンポーネントの一つになります。ザンデンオーディオシステムにも Model 300 Passive Linestage と云う入力切り替えを持つボリュームコントローラーをラインナプしていて、他社では不可能なノイズ対策によりソースそのままの高純度でストレートな信号の送り出しを実現しています。