私の偏愛盤その4
No.4
Camerata CMT-4018
F.Schubert
Piano Sonata No.21 D.960 In B-Flat Major
Edith Picht-Axenfeld
アクセンフェルト女史の名前は我が国ではカメラータの献身的な録音によりバッハの楽曲に於いてのチェンバロ奏者として知名度の高い演奏家です、彼女の演奏するバッハの楽曲に於いてはは厳格さを保ちながらも、瑞々しく豊かな情感を湛えた演奏は私の心を掴んで離しません。しかしバッハだけではなく他の作曲家のピアノやオルガンにも精通した優れた音楽家でもあります。
そしてここに紹介するシューベルトの D.960 はなんと歌に溢れた演奏でしょうか、シューベルトのピアノ曲のレコードは沢山ありますが、このレコードはその中でも手放すことの出来ない特別な1枚です。
このレコードを聴くと、シューベルトの音楽は全てが歌であることが良く理解出来ます。こんな風に歌うように演奏されないシューベルトはシューベルトではない、と私は思っています。限りなく美しいメロディーの下に隠された、深い悲しみの闇がシューベルトの本質であるような気がしているのですが、アクセンフェルト女史の演奏は見事にそれを表現しています。
このレコードのレーベルはカメラータトウキョウですが、レコーディングからマスタリングは日本ビクターの機材を使用しています。したがってザンデンのフォノイコライザーでのプレーバックカーブは EMI の逆極性になります。
このレコードの他の演奏家ではやはり晩年のハスキルと、 CD になりますがツィンメルマンとポール・ルイスをお勧めしたいと思います。ポール・ルイスは歌曲の伴奏にも優れて,現在一押しのシューベルト弾きです。
2013/09/25