DIATONE DS-4NB70 START UP

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Post QUAD ESL 2905 として DIATONE DS-4NB70 を当店の2代目リファレンススピーカーにすると決めてから凡そ二ヶ月、待ちに待った FX が 2017年12月初旬やっと到着しました。翌日には早速音出し、初めの数日は順調に進んで音のこなれが日一日と良くなり、しめしめとほくそ笑んでいたのも束の間、高域側に強調感がほんの少しあることに気付きました、ええっ!こんな時にシステムが不調ですか?。しかし良く良く観察するもシステムには異常は見つからずそのまま三週目に突入、そうこうしている間も音楽が腰高に聴こえて何だかなあともやもやしながら我慢・我慢と、辛抱すること・いやあ辛抱し通しの年の暮れでした。

今回のような経過がこの機種全部に起こることなのか、はたまた当店に来た個体特有のものだったのか、それともシステム全体のバランスに問題が在ったのかは判然としないまま苦行が続きます。悶々としながら年を越したところで、お正月のご利益かどうかは分かりませんが、すっと憑き物が落ちた様に見事に素のサウンドに戻りました。本当に唐突に。今では俄然本領発揮のパフォーマンスでジャンルを問わない芳醇なサウンドを提供してくれています。

これ迄幾度かスピーカーの馴しに立ち会って来ましたが、一様に音が順次こなれながらそのまま波乱なく落ち着くパターンしか経験が無かったので今回の出来事には面食らいました。修練がまだまだ足りないことにちょっと萎えました。

今回  DS-4NB70 のブレークインの過程で起きた一連の事象は、新素材ナノカーボンチューブ製のコーンとか、16cm 2ウェイに用いる規模からすると桁外れに奢ったコイルとキャパシタで構成されたネットワークとかが作用したんだろうか。それとも当店のシステムとの相性が原因で起きたのか等、勝手な思いを巡らせていますが ”終わり良ければすべて良し”。

紆余曲折を経ましたが今は無事平常運転中です、兎も角肝を冷やした体験でした。

店内に私一人でいる時はたいていレコードをかけています。このスピーカーはバックヤードで作業をしがてら聴いていても、良い録音は良いままに、それなりの録音はそれなりにと云う風に、ソフトの状態を的確にしかも端的に再現します。定位置から離れた所で乍ら聴きしいていてもこの DIATONE DS-4NB70 が最先端のスピーカーであり、所謂美音を奏でる類いのスピーカーとは対局にあることがはっきり聴き取れます。

個人的にはこの DS-4NB 70 は ESL のサウンドを私好みに正常進化させたもの、先代のリファレンススピーカー QUAD ESL 2905 のアップデート版と捉えています。その理由を挙げてみます、先ず全くもたつきのない音の立ち上がり方・後を引かない鮮やかな消え方をすること、言い換えれば前の音の尻尾が後から出て来た音の頭にかぶらない励磁型にも似た特徴を持っていること。また広帯域にも拘らずフルレンジの様にシームレスなレスポンスを実現していること、低域は音の出方そのものは軽やかでありながら実体感と質量を伴って良く伸びていること等 ESL と共通する美点を持っていること。それに加えてESL が苦手にしていた高域のエネルギー感をしっかり出して生々しさ全開のサウンドを聴かせてくれるところです。

それが国産、しかも老舗中の老舗であるダイアトーンブランドから出たのですから。全てに於いて胸の空く逸品です。そしてもう一つ大きな利点としてブックシェルフタイプであること、このサイズがもたらす取り回しの良さが同時に手に入ったことも大きな収穫です。

このスピーカーの試聴会にお越しいただいた方の多くは、初お目見えのドライバーユニットの再現性の高さと同時に、エンクロージャーの仕上げの良さにも関心を示されていました。試聴後の雑談では高域のサウンドに若干硬質さを伴うのが気になったとの感想も上がっていましたし、そこは私も気になっていた点でありその解消が宿題でもありました。

今店内で鳴っている DS-4NB70 は試聴会で指摘されていた気になる高域の硬質さも今ではものの見事に消え去り、演奏者の体温をも感じさせるサウンドに進化しています。勿論ブレークインを済ませたからでもありますが、試聴会の時と違うのはスピーカースタンドのセッティングの違いだけです。KRYNA 製のスピーカースタンドに当店オリジナルの『音羽』を加えてセットアップしたことによる変化なのです。

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DIATONE DS-4NB70 START UP です。

 

2018/01/23