RIAA

インターネット上で RIAA(BS)規格というブログのタイトルがヒットしたので読んでみると、当店が昨年に催したイベントのチラシの文言が取り上げられていました。文脈はステレオレコードの再生に於けるRIAA規格以外のイコライジングカーブは不要だとする方向で書かれてあり、内容的に新しいものもなくこれまで通りレコード産業を取り巻く業界が流して来たアナウンスの受け売りと伝聞をもとに、<ステレオレコードのイコライジングカーブは『RIAAによって制定』された>なるものを確たる事実として信じきった文面でした。

そしてその矛先は Zanden Audio にも向けられ、『ステレオ盤の再生にも、特殊な(製品の内容と品質には触れずに価格だけが彼の持つイメージとして超高価であること?)フォノ・アンプが必要だと思われるでしょうか?』と、それまでの話の流れに沿ってイコライジングカーブの可変機構をもったザンデンオーディオ製のフォノイコライザーを否定する論調で結ばれていました。

普段からレコードでしか音楽を聴かずに実演の音を知らないし興味も無い、レーベルに拘り無く RIAA規格の イコライジングカーブだけを使って再生されたレコードの音、即ち巷間流布されているレーベル毎の特徴的な◯◯サウンドと言われる音を聴くのが楽しい、または音さえ出てれば何をどう聴いても楽しい、なんて方には確かに必要ないでしょうね。『ステレオレコードも RIAA カーブで再生出来るレーベルの方が少ない』等と、今迄微塵の疑問も持つことなく心底信じていた常識を真っ向から否定する文言を目にしたせいなのか、

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自らは RIAA規格 以外のイコライジングカーブを使用したプレーバックを体験することなく、言下に不要と断じる姿勢はレコード再生の趣味性を否定している様にも取れるのですが。まあお仕事がレコード屋さんなので『特殊な(超高価な)機械なんぞにお金を使わず、せっせとうちのレコードだけ買ってよ』ってところでしょうか。

彼が知る中で特殊な(超高価な)と書いた Zanden Audio のフォノ・アンプは、従来の Model 1200 に続き昨年・一昨年と Model 1300・Model 100 が発売され、徐々にではありますが選択の幅は広がっています。

『ジャケットに RIAA と書かれたステレオレコードの中にも、イコライジングカーブを RIAA のままにして聴くと?と首を傾げたくなるものがあります。』こう書くと『そんな経験はない。』と即座に反論する人も居そうですが、 RIAA 規格が発表された当時デッカ他数社のレコードレーベルが自社レーベルをプレーバックする際のトーンコントロールの数値とそのテストレコードを一部の顧客にはリリースしていたとの話があったりして、 RIAA 以外のカーブ不要説を鵜呑みにしたままでいるのか、はたまた自身の聴感を信じて検証してみるのか、オーディオを音楽を聴く遊びと云う視点で捉えるとそこに求めるレベルも色々あって当然でしょう。

 

その昔発売当時には1枚2000円程だったレコードがここへ来て、べらぼうな金額で取引されているものがある事などを考え合わせると,遊びのものは必要な人にはどうしても必要だし、いらない人にとってはあくまでもいらないものです。レコードやオーディオ製品に限らずそうした類いのものに付けられた価格や価値は、人により意味の持ち様が全く違うのは言わずもがなですね。

RIAA について気になる方はフォノイコライザーやイコライジングカーブの稿に記述がありますので、そちらをご覧下さい。

追伸
英誌  hi・fi+ の98号に Mr.Roy Gregory の Zanden Model 1300 のレビューが掲載されています,是非お読みになられますことを御勧めいたします。

2013/07/01